ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣 を読んだ
感想
ここ1年で読んだ本の中で1番良かったかも。最近新しいことを始めようとしては続かなくて、いつのまにかやめてしまうことが多かったので悩みに突き刺さったのもあるけど。
習慣が続かないことに気づいた時、「あぁ、俺こんなことも続けられないってダメだなぁ...」みたいに考えてしまうんだけど、この本は「習慣の失敗はあなたの意志力の弱さじゃなくて環境が整ってないからだよ!」って1冊通してずっと言っている。 この本では習慣が定着する時のサイクルをきっかけ、欲求、反応、報酬の4ステップに分けている。それぞれのステップをどういう風に改善すれば習慣を定着させられるかがめちゃくちゃ具体的に書いてるので、読みながら過去の経験と照らし合わせて「あの時机に向かい続けられたのはこういう要因があったからなのか〜」と納得したり、これからやりたいと思っていることをどういう風に計画すれば上手く習慣化できるかワクワクしながら読んでしまった。啓発書よりもマニュアルと読んだ方が正しいぐらいのレベルなので習慣化に失敗した経験のある人類は全員これを読んで欲しい。それぐらいオススメ。
本筋からやや離れはするんだけど、なんか新しいことを始めようとしてはやめてきたマンとしては、付録にあった「新しいことを始めるチョイスがいつもキラキラしているのは予測するための土台となる経験がないから」という内容の文章が忘れられない。今まで毎回行き詰まると新しいことを始めようとする(そしてすぐやめてしまう)のかが分からなくて自分にモヤモヤしてたんだけどその理由が完璧に説明されていて舌を巻いてしまった。他にもたくさん「なるほどっすなぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!」って言いたくなるような、自分が今までやってきた習慣、あるいはやれなかった習慣について説明が書いてあるのでぜひ読んでみてほしい。良書でした。
以下要約をどうぞ。
1章
- 達成したい目的をベースに週間を作るのは間違っている
- なぜなら目的の達成が境界線になって成功と失敗という安易な二元論で行動の結論を出してしまうから
- 達成以外はモチベーションにならないし、長期的な習慣として根付くのを阻害している
- なぜなら目的の達成が境界線になって成功と失敗という安易な二元論で行動の結論を出してしまうから
- 成果はあくまで行動を積み重ねた結果振り返って観測できる事象なので、成果ベースの評価は習慣化を妨げる
ほしい結果が得られるまでには時間がかかる(プラトー)ことは驚くほど認識されていない。
学習や作業の進歩が一時的に停滞する状態。練習曲線の横ばいとして現れる。心的飽和や疲労などが原因で起こる。
- 習慣化に失敗する人の多くがこの潜伏期間を耐えきれずに投げ出してしまう
- 習慣化は成果・行動・アイデンティティという3要素で説明できる
- アイデンティティとは、「自分は〇〇な人間である」という認識。
- アイデンティティが確立できていると行動を起こすまでに必要なエネルギーが少なくなるので、習慣化のためにはここをまず押さえるのが大事
- e.g. 「今禁煙してるんですよ〜」って言ってる人はアイデンティティが喫煙者なので禁煙することに対して凄くエネルギーを使っている。
- 極論「タバコ吸わないんですよ」って言ってる人は断るのが当たり前になってる
- e.g. 「今禁煙してるんですよ〜」って言ってる人はアイデンティティが喫煙者なので禁煙することに対して凄くエネルギーを使っている。
- アイデンティティの形成のためには行動を積み重ねることが大事
- 行動によって自分のアイデンティティが強化される
- 投票みたいなもので、なりたい姿に近づくために行動を積み重ねることが大事
- 行動によって自分のアイデンティティが強化される
- ではどうやったら行動を起こしてアイデンティティの形成を素早く行うことが出来るだろうか?
- 習慣化のサイクルには4つのステップが存在し、フィードバックのループとして常に回り続けている。
- きっかけ
- 欲求
- 行動(反応)
- 報酬
- これらをハックして習慣化を成功させるにはそれぞれ以下のようなアプローチが有効
- はっきりさせる
- 魅力的にする
- 簡単にする
- 満足できるものにする
2章 はっきりさせる Make it obvious
- 行動変化のプロセスは自覚から始まる
- 一日の中で自分の行動を記録することで自覚できる
- 目が覚める、携帯を開く、布団から出る、携帯を見ながらトイレに入る...
- 大事なのは記録する時点では善悪の判断をせずにただ観察すること
- 一日の中で自分の行動を記録することで自覚できる
- 「私はいつどこで〇〇をする」という宣言をさせると実行できる確率が上がる(実行意図)
- 「本をもっと読む」「運動習慣を作る」というざっくりした計画は役に立たない
- 「寝る前の10分間、ベッドで本を読む」「夕食後、公園の周りをランニングする」という具体性が行動の確率を上げる
「次に何をするかはやり終えたことに基づいていることが多い」
- これを利用して、既存の習慣に紐付けて新しい習慣を作ることが出来る
- コーヒーを飲んだら(既存の習慣)瞑想する(新しい習慣)
- きっかけははっきりしていればしているほど良い。
- 昼休みの終わりに...よりも昼ごはんの皿を洗い終わったら...のほうがはっきりしている
- 引き金を引くきっかけが無い環境は挫折を生みやすい
- 自分で行動していると思いこんでいるけれど実は環境によって行動が引き起こされているだけなのをハックする
- 習慣を引き起こすきっかけは背景ではなく背景との関係性によって変わる
- e.g. ベッドでテレビを見ていると「ベッドはテレビを見る場所」というコンテキストが出来上がり、すぐに眠れなくなる
- 新しい場所だと新しい習慣を作りやすいのはこの理屈(既存のコンテキストに引っ張られない)
- 自制心が習慣を作るのではなく、環境が習慣を作る
3章 魅力的にする
- 動物の欲求はドーパミンの量である程度定量的に測定できる
- 行動を引き起こす確率を上げる、魅力的にするための方法の一つとして魅力的な報酬と抱き合わせるという手法がある
- 要は宿題をやったらゲームをやっていい的な動機付け
- 人間は近くの人と同じ様になりたい生き物なので、身につけたい習慣を当たり前に持っているグループに属すると身につきやすい。
- かつ既に他の面で共通の要素を持っていると連帯感が生まれるのでよい
- 運動をするオタクのグループに混ざる、みたいな
- 同じオタクだから盛り上がれる上に彼らは運動してるので俺も頑張る!ってなりやすい
- かつ既に他の面で共通の要素を持っていると連帯感が生まれるのでよい
- 悪い習慣はその先にある欲求に着目することで行動する確率を減らせる。
- 承認されたいとか体に悪いけど美味しいものを食べたいとか
- 行動した先に何があるか想像できるとブレーキになる
4章 易しくする(Make it easy)
- どれだけ低コストで行動できるようになるかが習慣化の鍵
- 低コストで行動するためには環境が大事。やる気ではない。
- スマホを触ってしまうのならしばらく遠くに置いてみる。
- 実際置いてみたらはかどってワロタ
- できるだけ始めるのが簡単になるようにしよう。
- 必要なものが出来るだけすぐ手に取れるように配置しよう。
- スマホを触ってしまうのならしばらく遠くに置いてみる。
- 2分間ルール:習慣の行動は2分間で絶対終わるような長さで始める
- 習慣は質を上げる前に定着させるのが大事
- 始めたては2分経ったら確実にやめる。
- 上手くいったからといって長時間続けると、次回行動する時の期待値が上がりすぎるので
- テクノロジーで習慣を自動化させたり仕組み化出来るのでどんどん使うとよい
5章 満足いくものにする
- 行動が習慣として定着しやすいのは行動によって与えられる報酬がより満足出来るものだった時
- この章ではどうやったら再び行動を起こす確率を上げられるかを考える。
- ただし難しいのは好ましいとされる習慣によって得られる報酬の多くが遅延報酬だということ
- 実行した直後に報酬が得られにくいので習慣になりにくい
- ので、即時報酬を行動の直後に供給するハックが有効
- やったことや実績が明確に分かる仕組みが即時報酬になる
- 例えば:
- 〇〇やったつもり貯金(我慢したことが金額として分かる)
- 行動した日はカレンダーにバツを付ける
- 行動した回数だけ瓶にクリップを入れる
- こういった仕組みは習慣トラッカーと呼ぶ
- レコーディングダイエットもこの一種
- トラッカーによって記録することでバイアスを排除できる。
- 自分の行動に対しては得てして甘く見てしまいがちなので...
- ただしトラッカーを付けるのが面倒になって習慣の定着を阻んでしまったら本末転倒なので「毎日付ける必要はないこと」「なるべく自動化すること」を意識する
- また、トラッカーが示す数字はあくまでKPIの一つでしかないのでそれ自体にとらわれないように注意する必要がある。
- もともと達成したいことを見失わないように。
- レコーディングダイエットもこの一種
- 例えば:
- 習慣が途切れそうになったら
- 1日サボるのは許容する。2日連続のサボりは習慣の消滅を定着させてしまうので気合でやろう。
- 誰かが自分を見ている、という認識は習慣の定着に大きく貢献する
6章 改善するだけではなく、本物になるには
- とは言っても改善を続けるだけではなくて抜きん出るには習慣だけでは難しい
- 他の人よりも有利かつ好きな分野を探して頑張るのが一番早い
- 平たく言ってしまうと、本当に抜きん出るには本人の特性(遺伝子など)によるところが大きいので...
- クリフストレングステストのような診断系テストはこういった資質を測るのに適している
- ではどういって自分に向いた領域を探すのがよいか?
- 周りは苦に思うのに自分は楽しく出来ること
- 周りの人より特異なこと
- モチベーションを失わないためにはコンフォートゾーンをちょっとだけはみ出る事が大事
- 同じルーチンの繰り返しで退屈になっても、難しすぎてパニックになってしまってもいけない
- 出来るか出来ないかギリギリの領域で達成することを続けようとするのが大事
- モチベーションが無い時、退屈な習慣にも耐えられるかがプロとアマの違い
- 習慣が身についた後の落とし穴
付録
- 満足 = 結果 - 欲望
- 何回も繰り返す行動がマンネリ化するのは、あり得る結果のパターンが予測出来てしまうから
- 新しいことを始めるチョイスがいつもキラキラしているのは予測するための土台となる経験がないから
まとめ
- 習慣が定着しない時、原因は意志の弱さではなく環境にある
- 大きな変化を起こすのではなく、ほんの小さな1つの行動を続けることを重視する
- 習慣とは改善の持続的なプロセスである。改善をやめないことにこそ習慣の価値がある。